クリスマス?
「そういや、今日クリスマスだな」
窓の向こうに広がるいつも以上の人の通りを見て、思い出したようにジェクトが呟いた。
朝早いが人通りでにぎわっている。
『クリスマス』
他の地域から伝わってきた行事。
街を思いのままにイルミネーションで飾る。
誰にとってもその日は忘れられない日になる。
神聖な雰囲気の中、家族と過ごしたり、好きな奴と過ごしたり…人によって様々だ。
もっとも二人はどっちにも当てはまるのだが―――
「…そうだっけ?」
「ああ」
「ふーん…」
何をするわけでもなかった。
ただいつも通りに特別なことをせずに過ごす。
いつも一緒にいるからかもしれないが。
「なんだよ、随分冷めてんじゃねーか」
「そうでもないと思うけど?」
頬杖をつきながら、冷たく答えるティーダ。
何かを期待しているわけではないが、たまには違う過ごし方はないものかと考えているからだが。
友人が、彼女とホテルに泊まるとかそんな事を聞けば少しは羨ましいと思う。
だけど、自分達の場合はそれが特別にはなり得ない。
つまらなくはあるが、それはすごく幸せな事なのかもしれない。
「なんかなぁ、こう…」
「…?」
「特別な事ねぇかな?」
それを聞いて少し笑ってしまった。
なんだ、おんなじ事考えてたんだ…
「「あ…」」
偶然にもハモってしまってティーダは恥ずかしくてうつむいた。
ジェクトは笑ったが、先に言う事にして話し始めた。
「勝負…しねぇか?」
「勝負?」
顔をあげてジェクトを見ると、あの笑みを浮かべていた。
「とりあえず外出ようぜ」
昨夜から降っている雪のせいで気温は低い。
息は白く変わって消えていく。
コートを着て手をポケットに入れても体は震える。
そんな中、積もっている雪を踏みながらジェクトの後に素直についてきたが…
目の前で雪に素手で触っているのを見ると溜息しか出てこない。
それほど厚着もせずにそんな事ができるのにはただただ呆れる。
一つ息をついて近づき、隣にしゃがむとジェクトに雪玉を渡された。
「勝負ってのはな、この雪玉をどこまで飛ばすか…だ」
「これを?っつか冷たいッスよ!」
渡された雪玉を一度地面に置く。
赤くなってしまった手を擦って暖める。
「…勝ったら、相手の願いを聞くってのはどうだ?」
「お願いを…か。いいッスよ!」
ティーダは何も考えずに、それを承諾した。
「俺様の勝ちだな」
満足げにそう言い放ったジェクトを睨む。
勝てるわけなかった。
ブリッツであんなにも強烈なパスをだすジェクトに。
そこまで頭が回らなかったのは大失態だった。
だが、もう既に勝負はついてどうしようもなくなっていた。
「オヤジのお願いって何だよ?」
ろくな事じゃなさそうだが、勝負は勝負だからとしぶしぶ聞く。
「あー、そうだな…おめぇからキスしてくれや」
「…?それだけ?」
「あ?悪ぃか?」
「そんな事ないけどさ…」
もっとすごい事かと思ったんだけどな…
ま、良かったけど。
歩み寄って、首を手に回して深くキスをした。
口腔の暖かさが気持ちよくてつい長く口付けてしまった。
ゆっくりと離すと、唾液が糸をひいた。
「随分なげぇキスだったな、おい」
「うっさいなぁ…それよりいいだろもう、中入っても」
背を向けて玄関に向かうと、コートのフードを掴まれる。
「何言ってんだ?」
「は?」
強い力で掴まれているから仕方なくジェクトのほうを向きなおす。
「誰も一つだけとは言ってねぇぞ?」
「…っ!まじッスか…?」
「まじ」
あっけらかんと答えるジェクト。
半分はめられたようなものだと思った。
自分がもし万が一勝っても気がつかなかっただろう。
「あのさぁ…普通クリスマスって親が何かしてくれるもんじゃないんスか?」
苦し紛れにそう言ってみる。
「…?おめぇその歳になってなんかしてほしいンか?」
「あんたに言われたくないッス…」
それが聞こえたのか聞こえなかったのかジェクトはティーダの顎を持って顔をあげて口付けをした。
「…ン…っ……〜〜〜!!」
背中を叩いて苦しいことを訴える。
片手を後頭部にまわされて押さえつけられているため離れない。
しかも、舌が歯列をなぞったりしてきて頭の中がめちゃくちゃになった。
息苦しくて涙が零れたらようやく呼吸ができるようになった。
「…は……ぁ…馬鹿!」
「ま、今日一日言う事聞いてもらうからな」
覚悟しとけよ?
長きクリスマスの夜を幸せに
それぞれの想いを胸に
楽しい思い出をつくろう
EISP管理人の真靖さんから強奪した素敵クリスマスフリーSSですvv
パソコンの前で思わずクネクネしちゃいましたぁv(変態)
真靖さんの素敵サイト様はこちらvv
ああ素敵・・・vしかもおまけまで強奪してしまいましたvv
素敵なおまけSSはこちらからv
あ、おまけは18禁ッス!