主導権




朝…かと思った。
カーテンは閉められているものの光が差し込んでいる。
…時計を見ると昼になろうとしていて、いつも通りだるいがなんとか動く体を起こそうとした。
だが…
「いってぇ……」
体を起こそうとした瞬間、痛みが腰をはじめ背中全体に広がる。
それは思わず顔を顰めるほどだった。
「あのクソオヤジ…」
悪態をついても仕方がないが、そうでもしないと痛みに対する怒りがおさまりそうになかった。
理由はすぐに昨日の情事だとわかった。
最近は試合の連続で忙しくて全然してなかったから、ジェクトの気持ちもわかる。
それに自分もしたかったのも事実だ。
だから家に帰って早々押し倒されて、疲れていたが悪い気はしなかった。
でもこんな痛みを感じるとなると話は別。
以前も痛みが残って試合が散々になってキレた。
そのときはいつの間にかはぐらかされてしまった。
だが、前みたいにはいかないとかそんな思いはない。
変にこじれるのはすごい嫌だから。
たぶん…起きてるはずのオヤジ。
いつもなら隣で寝ているはずだがやはり、この時間ともなると自分で起きるのだろう。
ご飯…作ったかな?
腰を庇うようにゆっくりとベッドを降りて部屋を出た。










ジェクトはTVを楽しむわけでもなく時間をつぶすためにだけ見ていた。
映像は今日の事件やら、スポーツ関連ばかり。
昨日の試合の映像が流れるがさほど興味はないためただ見るだけ。
親子での活躍は世間の注目を浴びる。
確かにジェクトとティーダの能力は他の選手より高いのかもしれないが、実際試合を大きく左右するのは、チームワーク。
それを伝えない実況があまり好きではないのだ。
チャンネルを何度も他のに変えながらなかなか起きてこないティーダを待つ。
腹は減っているが、昨日はやりすぎたと反省してさすがに起こせなかった。
もう、昼になろうとしている。
朝食を作ろうとはしたが、ティーダの仕事を増やしそうな予感がしてやめた。


さすがに起こすかと立ち上がろうとした時ゆっくりとした足音が聞こえた。
だが、なんだかおかしい。
家事をするにしても廊下を早足で歩くティーダがこんなゆっくり…?
気になってドアを見ると、そこに手を腰にやったティーダがいた。
「おい、どうした?」
涙目で現れたティーダ。
部屋を少し見渡した後、肩を竦めている。
「…クソオヤジ…」
捨てゼリフのようにそう言って、キッチンに向かっていった。
しばし呆然としていたが、すぐに後を追いかける。
機嫌が悪いことに気がついたからだ。


「あんたさぁ…もうちょっと気を使うとかできないわけ?」
「…何がだ?」
全然わかってくれそうにないジェクトにティーダはキレた。
「アンタのせいだ!もう…ふざけんな!」
そういうと踵を返して、部屋に向かってしまったティーダ。
残されたジェクトはドアが大きな音を立てて閉まってしばらくしてようやく理由がわかった。
「あ…と、くそっ!」
舌打ちをする。
急いでティーダを追った。





「はぁ…」
ドアの鍵を閉めて、ベッドに座る。
つい怒鳴っちゃったよ…。
あんなふうにキレるつもりはなかった。
…ご飯作ってくれてるの期待してたのがいけなかった。
オヤジが作ってもどうせ食えたものじゃないのに…と今更気づく。
でも、ノコノコ戻って謝るのもなんだか嫌だった。
「どうしよっかな…」
そのときドアノブがガチャガチャと回った。
鍵がかかってて開かないんだっつの…
だんだんと激しくなってくるドアノブの回り方に多少の不安。
急いで開けようとすると…
バキッという鈍い音がしてドアが開かれた。
開いた先には…オヤジ。
間に合わなかった…。
「ちょっと…ドア壊すなよ!」
「ああ?鍵閉めんのがいけねぇんだって。ンな事より…」
頭をポリポリと掻きながら何かを言おうとしているオヤジ。
無残にも壊れたドアを立てかけるジェクトを見てため息をついた。
まあ、ドアはしょうがないとして、素直に耳を傾ける。
「何?」
「…その、悪かった。昨日のことだよな?」
「?あ…」
ちょっと違うが、まさか謝ってくれるとは思わなかった。
「久々だからよ…つい…な」
バツが悪そうな顔で言われて、自分に罪悪感が生まれた。
「俺…も、ごめん…怒鳴って…」
謝ったことに驚いたのかオヤジは俺のほうを見て固まってた。
「…別に無理にじゃなきゃ…いいんだから…さ」
熱くなる頬を感じ、恥ずかしくて背中を向けた。
そしたら、抱きつかれた。
「良かったぜ…まじで」
一つ息をついてそう言ったジェクトの方に顔を向けてキスをした。
しばらくして口腔に入ってきた舌に答えた。
「どした?やけに積極的じゃねーか」
「う…ん」
服を捲られ、肌に触れられてピクリと反応する。
ここまでくれば、やるしかないとばかりにベッドに押し倒された。
少し腰が痛みを訴えたが、我慢した。
「そうだな…今日はおめぇがやれよ」
「え?」
何が?と言ったようにジェクトを見る。
「主導権っつったか?それやるよ」
…主導権?
よくわからずに首を傾げると、なぜか笑みを浮かべて教えてくれた。
「おめぇが言う事聞いてやるって事だ。なんつーか、お前の望んでるやり方を知っておきてぇかんな」
「…うん」
俺はそれに同意した。
おもしろそうというか、たまにはそういうのもいいかなって思っちゃったから。










「あっ…」
胸の突起を押しつぶされて身体が跳ねる。
「次はどうすりゃいいんだ?」
「ん……」
紅い瞳で見られて体が疼いた。
だけど、すごく後悔した。同意したことに。
「触っ…て…」
「どこをだ?」
ニヤニヤしながら聞いてくるオヤジを睨んでた、最初は。
だけど…
「ここ…」
刺激がほしかった。
突起を弄っていたオヤジの手を自分の既に立ち上がった自身のところに持っていく。
すると、握りこんでゆっくりと扱き出した。
だが、快感といってもそれは微弱なものでイケない。
睨んでいたはずがいつの間にか、懇願する目になった。
「言えねぇんなら、自分でやってみりゃいいんじゃねーか?」
「……っ…」
すごい事言い出したジェクトを少し呆然と見る。
相変わらずの笑みが嫌になる。
「ほら…な」
手を掴まれて、自身に持っていかれる。
そして手を重ねられたまま上下に扱かれる。
すると、ジェクトの手が離れても止まらなかった。
「あ…や……っ…見んな……っ…」
羞恥心で、顔が熱くなってくる。
すると、手を掴まれてしまった。
「や…だ……っ…」
「俺様、見ててすっげぇ燃えるけどやっぱ頼めよ。でも口で言わなきゃわかんねぇぞ?」
こんの…クソオヤジ…とか、言いたかったけど…
あまりにイケないことがつらくて…
それなりにさっき限界が近かったため…
「……イカせて…」
意地の悪い笑みを浮かべて、ジェクトはティーダのモノを口に含んだ。
「ん…ああっ…!…ふ…っ…」
いきなりの粘膜のあたたかさにすぐ限界がくる。
シーツを掴んでグッと耐えるものの、身体はビクビクと痙攣を始めている。
ジェクトは舌で先端を突いたり吸い上げ、イクことを促した。
そしてティーダはジェクトの口腔内に白濁を出した。










「…は…ぁ」
肩で息をしながら、ジェクトを見た。
するとやっぱりニヤニヤした顔があって…
「こんなの…おかしいって…」
「なんだよ、俺様おめぇの言うこと聞いてんじゃねーか、何が不満なんだ?」
「う…」
そう言われて言葉に詰まる。
「じゃあ、いいじゃねーか。それより…次は何すんだ?」
「………」
これで最後までするつもりかよ…
ほんとに何もしなさそうなジェクトに…言った。
「指…入れて…」
言えばすぐに入ってくる指。
解すように中を動く指の動きに思わず嬌声があがる。
勝手に二本、三本と増えてきた指。
「も、入れてもいいみたいだぜ?どうする?」
「…ふっ…く………ジェク…ト…の…」
もう…なんでこんな…
半分やけくそだった。
「入れて……」
腰を持ち上げられて、下にクッションを敷かれた後、熱いモノが押し当てられた。
痛みに耐えるよう息を詰めて、ジェクトの怒張が入りきるのを待つ。
目を強く閉じてしばらくすると、入りきったことを伝えられる。
「…」
やっぱ…言わなきゃいけない…のかな…?
問いかけるような目で見るとジェクトは少しだけ笑った。
「も、俺様限界だから勝手にやるぜ?」
俺の返事も聞かずにジェクトは腰を打ち付けてきた。
もちろん、クッションを敷いてくれてるからいい。
それに、言わなくてすんだことがなによりも。
「…あっ……あ……」
速くなってくる律動にまた前はたちあがって液を溢れさせている。
それにも手が添えられ扱かれる。
「…ン…ぁ……も…」
首を振って訴えると、最奥にあたるように突いてきてすぐに俺は限界を迎えた。
その後ジェクトも俺の中に熱いものを出した。










「お前はああいうンがいいんか?」
「どうせ…なんも変わんないだろ…」
「いーや、さっきのほうがおめぇ可愛いぜ?」
「っ!!馬鹿!」
ベッドに横になっていたから、ジェクトに背中を向けた。
冷静になればなるほど、後悔ばかりが襲った。
それなのに、ジェクトはこんな話を始めて…。
「…」
「でも、あれだと俺様がもたねぇからもうやめようぜ」
だいぶつらかったらしい。
それが妙に面白くて笑った。
「オヤジのやり方…嫌いじゃないッス…」
無理にやらなきゃ良いと思う。
本人に言うのは今日二回目だけど、ほんとのことだから。
よほど嬉しかったのか、ベッドに体重をかけて覆い被さってキスをしてきた。
「ん……」
「俺様のやり方が好きなんだろ?」
「何…?またやる気?」
ちょっと笑いながら聞いた。
まんざらでもない様子に気がついたのか何も言わずにまた愛撫を始めた。
ティーダも少し微笑んで、与えられる快感に身をまかせた。





FIN




読みましたか?皆様!!この素晴らしい萌お話を!!!!!
もう本当に、ななみは幸せ者ですvv
これからは真靖様を師と仰ぎ、精進する所存でございますvv
真靖様の素敵サイトサマはこちら

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